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A Conversation with TRISTIOUS
 

2021.01.13

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新世代ヒップホップアニメーターTristan Zammitに聞く!



若手アニメーター・イラストレーターとして数々のヒップホップMV作品を手がけるトロント生まれ、フィラデルフィアを拠点に活動する[TRISTIOUS]こと[Tristan Zammit(トリスタン・ザミット)]。


幼少期からのアニメとヒップホップへの情熱が、高校中退を決意し、アーティストの世界観を表現するミュージックビデオ制作に導いていった。90年代のヒップホップをこよなく愛し、現在の音楽シーンを鋭く分析しながら、シーンを熱くサポートし続けている。そんな彼のキャリアの始まりをサポートしてくれたのは、2020年の大晦日に衝撃的な訃報のニュースが飛び込んだ、アンダーグラウンドシーンの伝説のラッパー“MFドゥーム”だった。


そして、次々に傑作を発表し、その中でも最高傑作となったのが、20歳の若さで命を奪われたヒップホップのヒットメイカー“XXXテンタシオン”へのトリビュートビデオ、『BAD!』と『SAUCE!』ではないだろうか? MFドゥーム、メソッドマンなどのオールドスクールアーティストから、リル ・ヨッティ、YNWメリーなどの新世代アーティストまで、トリスタン氏のクライアントリストは全員個人的な深い思い入れがあるメンツだ。今回の取材では、デジタルネイティブ世代であるトリスタン氏のサクセスストーリーを語ってもらった。


 


――まず初めに、あなたの生い立ちから、アニメーター、イラストレーターとしてご活躍されるまでの経緯を聞かせていただけますか?


幼少の頃からフィルム作るのが好きで、12歳の時に本格的にオンラインで作り始めて、15歳の時には自然とフィルムからアニメーションをやるようになったんだ。『NARUTO』、『BLEACH』などの少年アニメファンだったから、キャラクターをよく描いてたこともあって、最初は苦戦したけど、基本的なドローイングも学んでスキルアップしていったんだよ。


それから自分のYouTubeチャンネルで自作のアニメコンテンツを公開してたら、ミュージックビデオアニメーターの仕事を初でもらったんだけど、自分のスタイルを上手く表現できる仕事ではなかったんだよね。そんな経験から、どうにかして自分のすべてを表現できる作品を公開したくて、17歳の時にSoundCloudでインディーズアーティストを見つけて、ノーギャラでアニメーションビデオを作ったんだ。



『Otherworld』




このプロジェクトでは、数人の友達に自腹でギャラを払って協力してもらい、無事完成することができたんだけど、制作に6ヶ月もかかってさ。今振り返ればノーギャラで6ヶ月間もかかってビデオ制作するもんじゃないことを身にしみて学んだね。でもベストを尽くしたおかげで、いいポートフォリオができて、MFドゥーム、ODB、アール ・スウェットシャツのビデオプロジェクト『Huey, Sorcerer of the Brooklyn Zoo』の仕事をもらうことができたんだ。

MFドゥームが亡くなったことを知った時は凄い悲しかったよ。幼少の頃からオールドスクールヒップホップのファンだったからMFドゥームと仕事できたことは光栄だし、この作品で僕は自分の売り込みをスタートすることになったんだ。今こうして好きな作品制作という仕事で食べていけるのは、MFドゥームのサポートのおかげなんだよ。彼の存在は僕にとって本当に偉大で、永遠に彼への感謝の気持ちは忘れないね。



『Huey, Sorcerer of the Brooklyn Zoo FT. MF DOOM, ODB, EARL SWEATSHIRT』





――インディーズからメジャーアーティストのクライアントまで幅広く仕事をしていますが、どのようにクライアントを増やしていったんですか?


キャリアのはじめの頃は、クライアントに送るメールコンテンツを事前に作成しておいて、クライアントによってコンテンツを少し変えたりしながら、少なくとも1日に100通は営業メールを出していた。


アーティスト、マネージャー、レコード会社などの連絡先はオンラインでリサーチして、飛び込み営業電話もしたことがあるさ。100通だして、返答が1人あればラッキーだったよ。でも、例え少し興味を持ってくれても、予算の話になるとそこで連絡が途絶えたこともあったかな。


クリエイターとしてのキャリアの初期段階では、返事がこないとか、「No」と言われることに慣れることも大事なんだ。そういう苦労があったからこそ、仕事をもらった時は全力を尽くして、その結果自然と次に繫がっていったかな。


初期の頃はジョーイ・バッドアスのビデオ制作をやったことがあるんだけど、残念なことにその曲のリリースがキャンセルになって、ビデオも公開されないことになったんだ。頑張って作ったから正直悔しかったね。逆に気合いも入ったけど。でも有難いことにジョーイが他のアーティストマネージャーを紹介してくれたのを覚えてるよ。


それからしばらくして、エイサップ・ファーグがフィーチャリングされているトリー・レーンズのビデオ『Bal Harbour』の制作をして、このビデオは僕のキャリアで重要な役割を果たしてくれたんだ。


それから当時新人だった、ラスやリル・スコットのビデオ制作もしたこともあるよ。とにかくいつでも全力で作り続けて、いろんなタイプの作品をリリースすることによって、僕のスタイルを理解してもらえるチャンスにもなったし、この繰り返しで仕事の繋がりが広がっていったんだ。


 『Bal Harbour – Tory Lanez(feat. A$AP Ferg)』




――この業界に進もうと思ったきっかけは何ですか?


僕は幼い頃から何か興味があれば、いつも没頭するタイプの人間で、アニメーションを初めて作った時は、表現の幅が広いことに感動したよ。最初は実験段階だったから、ベストな作品は作れなかったけど、とにかく努力し続けた。言わば、成長段階だったのかも。自分の想像したストーリーとイメージが作品になることに、とにかく魅力を感じたんだ。もうこれしかないと思ったね。


ちょうど高校2年生になる前に中退して、自分の全てをアニメ制作に没頭しようと決めてさ。残された2年間の高校生活の時間を自分のスキルアップの時間に使ったんだよ。そのおかげで自分が想像していた以上に成長できたから、今振りかえれば、高校を中退して良かったと思ってる。強いパッションを持ってその時にすぐに行動に移せたことは本当に恵まれていたよ。



――仕事をする上で気をつけていることは何ですか?


仕事を引き受ける以上、自分のスタンダードを意識して、どんな時でも、それを下回る仕事はしないように心がけているんだ。仕事のクオリティを上げることは自分への挑戦でもあるし、クライアントへ対するリスペクトでもあるからね。


特にレコード会社やアーティストとの仕事は時間が勝負で、締め切りがいつもタイトなんだ。僕の仕事はキャラクターのドローイング、コンポジション、編集など、手間のかかる作業がたくさんあって、通常で1週間以上、時には1ヶ月以上かかることもある。でも、なるべく短期間で仕上げられるようプランを立てて、150%の努力をしている。その結果として与えられた時間でベストな作品を仕上げることが可能になるんだ。


 時には数本のビデオを同時進行で作ることもあるから、5名から8名のチームで共同作業をしているけど、なるべく小さいチームでシンプルに作業できるようにしている。僕のルームメイトでもあり、ビジネスパートナーでもあるアレックスもデザインをするから、僕が作ったビデオにはアレックスもクレジットされてるよ。



――あなたの作品クリエイションのプロセスや使用ツールを教えていただけますか?


シンプルだね。まず初めに、ビデオに登場するキャラクターをワコムの液晶ペンタブレット・Cintiq(シンティック)で描いて、クライアントに見せるんだ。この段階でクライアントの求めているスタイルか確認して、必要であれば修正することもある。


その次にビデオ用のストーリーボード作成するんだけど、アニメで言えば原画作成の段階で、クライアントが理解しやすいように、コンセプトやストーリーの流れを視覚化して、クライアントからのアイディアを聞いたり、変更作業をするんだ。そしてクライアントから承認をもらったら、最後の仕上げにとりかかる流れだよ。


この仕事を始めたばかりの当初は、クライアントへの作業過程の報告や承認作業をやらないで、最終段階まできてダメ出しをされたこともあって、修正するのが本当に大変だったから、痛い思いして学んだよ。こうやって、一つひとつ作業をこなしながら、いつも学んでいるんだ。



――アニメーションやイラストレーションの魅力は何ですか?また、あなたの作品のインスピレーションについてもお話ください。


自分のイメージしたものをキャラクターにしてストーリーを作れることが魅力かな。そしてみんなに見てもらって、僕の作品を好きになってもらえることは凄い嬉しいよ。僕は90年代のヒップホップと日本のアニメからインスピレーションをもらっているんだ。97年生まれで、2000年代は90年代の名残があって、90年代のヒップホップを聴いて育った。その中でもビッグ・エルの大ファンで、1日中彼の曲を聴いて、彼のライムについて友達と語りあったりもしてたさ。


ア・トライブ・コールド・クエスト、MFドゥーム、ウータン・クラン、ビギー ・スモールズ、ジェイZもよく聴いてたし、バスタ ・ライムスのエネルギッシュなビデオも鮮明だったな。面白いアングルでワイドレンズ撮影してて、当時あのスタイルが確立されたね。90年代のヒップホップを実体験したわけじゃないけど、僕に新しい世界を切り開いてくれたんだ。そういう意味で凄いリスペクトがある。


僕がビデオ制作を始めた頃の話なんだけど、YouTubeにゴーストフェイス ・キラーのビデオがポストしてあったんだけど、そのビデオが僕的にカッコいいと思えなくて、「このビデオダサい。誰かもっといい作品が作れる人を雇うべきだ。こんなんじゃウータン・クランにリスペクトがなさ過ぎだよ。」ってコメントしたら、「じゃあいい作品作ってくれない?」って返信があって、メソッド・マンのプロモビデオ制作することになったんだ。ディスって仕事をゲットしたんだよ(笑)。


僕がリスペクトしている90年代のアーティストと仕事できることは最高だね。僕の作品を彼らのインスタにポストしてくれたり、僕の作品に喜んでいる姿を見ることができたのは本当に嬉しかった。


日本のアニメカルチャーに関して言えば、僕はアニメオタクで、少年アニメを観て育ったんだ。大人になってからは、アダルト向けのアニメにのめり込んでいったよ。監督、脚本家である湯浅政明の『マインドゲーム』は僕の中で一番インスパイアされた作品で、渡辺信一郎監督の『カウボーイビパップ』や『サムライチャンプール』、小池健監督の『レッドライン』も僕の作品作りのインスピレーション源になっている。作品のストーリー性の深さは本当に感動的だね。



――あなたのキャリアを振り返って、思い出のある作品を3つ教えていただけますか?


まず1番目は、“XXXテンタシオン”のビデオ『Bad!』。通常僕がアーティストやマネージャーにコンタクトするか、連絡をもらってコンセプトやラフのアイディア提出してプロジェクトが起動するんだけど、XXXテンタシオンのビデオ制作は、彼の追悼を込めて選ばれたアニメーターがコンテストに参加して、ファンがアニメーターを選ぶ形式だったんだ。


そのために予算を少しもらって、チームメイトと一緒にコンテスト用のショートクリップ制作をしたんだよ。XXXテンタシオンは僕にとってスペシャルなアーティストだったから、僕しかベストなビデオは作れないという自信もあって、8名のクリエイターの中から僕が選ばれたんだ!


仕事を正式にオファーされてから、2週間という短い制作期間の中、1000%のベストを尽くして制作活動に没頭したよ。フルタイムのチームメイトはいなかったから、時々友達にもヘルプしてもらって、締め切りまでに作品を仕上げることができたんだ。おかげで反応もよくて、ビデオをリリース初日に100万以上の視聴回数を獲得することもできた。今では1億回以上の再生回数を記録している。


XXXテンタシオンの家族、友達やレコード会社にも暖かく見守ってもらったことを感謝しているし、みんなアーティストのポジティブなイメージを世の中に送り出してほしかったから、その期待に応えられて嬉しいよ。

 



『BAD! – XXXTENTACION』



2番目はYNWメリーのビデオ『Suicidal』。残念なことに殺人容疑で収監中のため活動停止になっているけど、前から彼の音楽ファンだったんだ。XXXテンタシオン、メリーは、今の音楽シーンでも異彩を放つアーティストさ。それを真似ようとしているアーティストもいるけど、彼らがあのサウンドを確立していったんだよ。



『Suicidal – YNW Melly』




最後は、リル ・スカイズのビデオ『Lust』。リリースした矢先、100万以上の視聴回数に達して、現在は1億5000万回を突破したビデオなんだけど、ディレクターはリル ・スカイズの親友、ニコラス ・ジャンドラとのコラボ作品なんだ。まだスカイズが今みたいに有名になる前にこの曲がヒットすると思ってて、ちょうどビデオがでてなかったから、制作しようという話をもらってたんだ。


彼の過去の作品を見て分かるけど、楽しくてノリがいいビデオにしたくてさ。鮮明な色やイメージを使うことによって、他のアニメビデオと差をつけたかったんだよ。スカイズがピンクの空を飛んでいたりね。このビデオの制作期間は1週間しかなかったけど、いくつかのシーンに僕のアニメーションを入れ込んでいったから、そこまで大変じゃなかったかも。




『Lust – Lil Skies』



――ちょっと話は変わりますが、パンデミック、ブラック・ライブズ・マター運動は、あなたの制作活動にどのような影響を与えましたか?


ロックダウン中はビデオグラファーやフォトグラファーが安全に撮影できる環境じゃなかったから、レコード会社やアーティストたちは安全なコンテンツ作りの方法を模索していたんだ。そういう状況下で、アニメーションの業界が注目されるようになって、有名なアニメーションスタジオがミュージックビデオ制作を始めたんだよ。


僕やたくさんのクリエイターがビデオ制作する前はこういう動きは構築されていなかった。実際にアニメはミュージックビデオ制作のインスピレーションになっていることもあるし、アニメーションMV作品が注目されている時代でもあるんだ。だからこそ僕は、大手のアニメスタジオが真似できないような、自分のスタイルを貫いた特別な作品作りをこれからもしていきたいね。



――今後どのような活動をしていきたいですか?そして今後一緒に仕事したいアーティスト教えてください。


仕事したかったアーティストはもう一緒に仕事することができたけど、リル ・ウージー・ヴァートのビデオがレーベル内の諸々事情でリリースされてないから公開してほしいね。いつかトリッピー・レッドと最高傑作のビデオも作りたいよ。ファンでもあるからファンの目線でベストなビデオをビジュアル化できると思うんだ。そしてバイブスが合うアーティストとこれからもスペシャルな作品を作り続けたい。


MV以外だったら、名前は今公表できないけど某アーティストとコミック制作をしていて、デジタルだけど、いずれプリントにもする予定なんだ。大企業の広告用の仕事もしたいし、インスパイアされた日本のアニメ監督や脚本家といつか一緒に仕事できたらいいな。彼らのレベルではないけれども、欧米人の感覚とヒップホップミュージックビデオ制作の経験から何かしら面白いアイディアを提供できると思うんだ。それまでに自分の確固としたスタイルを確立したいね。

Thank you!!!



若きアニメーター、トリスタン氏の新たな挑戦は、まだ始まったばかりだ。手掛けるプロジェクト一つひとつと向き合い、学び、解決策を見出していくことで、理想の作品を現実のものとし、自分のスタイルを貫く姿勢こそが成功を握る鍵なのではないだろうか?

Interview & Text by Mimi Tamaoki @gcv212


 



■INFO:
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https://twitter.com/tristious
https://www.youtube.com/user/TotallyTristan


 


DATE : 01.13.2021 | CATEGORY : CULTURE, INTERVIEW

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