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Editorial Director at VIBE, Datwon Thomas
 

2011.05.29

ヴァイブ

Hip Hop黄金期をリアルタイムで体験し、90年代半ばからHipHop雑誌業界入りしたDatwon Thomas(デトワン・トーマス)。現在は、VIBE誌の編集ディレクターとして活躍。デジタル化で雑誌の需要が縮小する時代に挑戦しながら、世界中のヒップホップファンを魅了する誌面作りを目指し、多忙な毎日を送っているよう。そんな彼に雑誌の思い出や将来性、ビジネススキルを語ってもらった。

 

Universe:現在の仕事に携わる前のキャリアバックグランドを教えてもらえますか?

Datwon:'96年にVIBEで1年間インターン(研修生)として給与なしで働いたのが、僕のキャリアの始まりだね。その後に、XXL magazineへ移り、創刊号から2年間働いてたよ。今は無いけど、Puff DaddyのHip Hopウエブサイトでも働いた。その当時、アーバンライフスタイルマガジン、King magazineを創始することに夢中で、'01年にHarris PublicationsからKing magazineを創刊させたんだ。5年間編集長/編集ディレクターとしてKing magazineを担当しつつ、同時にXXL magazineの編集長もやらせてもらってた。Harris Publicationsでは、その他に、Scratch、HipHop Soul、Rides等の雑誌にも関わっていたよ。'08年からは、Russell SimmonsのオンラインメディアGlobal Grindの編集長を経験し、'10年の夏に、今のVIBEの編集ディレクターになったんだ。15年振りに、VIBEに戻ってきたということだよ。

Universe:VIBEにおける目標は?

Datwon:僕がインターンしていた'96年のVIBEは、エッジが効いていて常に新しい話題や人物の情報を伝えることが重要だったんだ。今、こうして僕が戻って来たことで、また昔のVIBEの素晴らしい要素を今のスタッフ達と一緒に伝えていきたいし、同時に、アーバンスタイルをもっと強調していきたい。現在は、アーバンカルチャーが、他のカルチャーとミックスしているけど、たくさんのクリエイティブなスタイルは、アーバンカルチャーから由来していると思う。だからこそ雑誌を作る側としては、新時代のアーバンカルチャーにもっとフォーカスしていきたいと思っている。

Universe:雑誌とオンラインメディアの相違点は?

Datwon:雑誌はストーリーが常に事実で、時間によって左右されない永遠のものであることが大切だと思う。雑誌では、アーティストの全体的なストーリーを紹介するけど、オンラインでは、今起きたことを誰よりも早く紹介することにフォーカスしている。例えば、Rick Rossのストーリーを雑誌でフィーチャーするけど、オンラインでは、Rick Rossが何枚アルバム売ったか?や誰とビーフだ!、という情報を載せるんだ。そして、オンラインメディアでは、素早く情報を得るために業界のコネクションが重要視される。現在のブログは、どこも同じ様な内容を載せ、お互い情報をコピーし合っているけど、オンラインメディアで成功するには、いかに他のサイトと違いをつけ、素早く、また、業界のネットワークを使って、詳しい情報を載せるかだと思う。

Universe:そのネットワークを広げ、成功へと導く秘訣は?

Datwon:イベントにたくさん顔を出すことはもちろん大切だけど、その中でも厳選して参加するイベントを選ぶことだと思う。ストリート系のイベントにも顔を出しつつ、レベルアップするためには、ハイクラスなイベント、例えば、夏のハンプトン(NY社交業界が凝縮されたビーチ・リゾート)や、ファッションウィーク、ロスやヨーロッパで開催される多数のイベント等も僕にとって重要なイベントなんだ。ネットワークが上手く出来れば出来る程、仕事も向上すると思う。

Universe:朝起きて一番にやる事を教えて下さい?

Datwon:朝起きて一番にやる事か(笑)。まずは娘達の顔を見る事かな。その後、電話、メール、twitterのチェック。そして、Nah RightRap RadarVIBE Global Grind MISSINFO.TVなどのサイトで、その日のニュースをチェックし、自分のブログで何をアップするか決めるんだ。なるべく毎日ブログするようにしているけど、歳を重ねるごとに言いたいことが沢山出てきて、いかに簡潔にまとめるか苦労しているよ。

Universe:経済状況の影響から過去数年、アメリカでも日本でも雑誌業界がシビアな時期を送っていますが、今後のアメリカの雑誌メディアの将来をどうお考えですか?

Datwon:Global Grindで働いた時に、雑誌業界が危機に陥ってるいることを再実感したけど、その時気づいたことは、雑誌メディアを守るには雑誌のジャンルにこだわり、スタッフが読者と同じ気持ちでベストなコンテンツ作りをすることだと思った。僕のジャンルで言えば、アーバンエンターテイメントだから、とにかくこのジャンルに関しては、誰よりも知識を得ようと心掛けている。でも、今の時代は雑誌だけではなく、雑誌と連動して雑誌のオンラインサイトもあるのが普通だから、いかに雑誌とオンラインが一つの媒体となって、ストーリーを読書に伝えるかが大切なんだ。VIBEでは、雑誌とオンラインの情報は似たものが多いけど、僕たちはダイレクトで、スマートにストーリーを読者に伝えるよう心がけているよ。現在は、誰でもインターネットで検索し、情報を得ることができる時代だから、雑誌の制作者としては、googleでは見つからないストーリーを読者に伝えることが大切だと思う。それが雑誌の生死が決まる分かれ目だね。

Universe:あなたはHip Hopのジャーナリストとして、10年以上もの間業界で活躍し、業績を残しています。今までカバーしたストーリーで、一番印象に残っているものは何ですか?

Datwon:たくさんあるけど、その中でも一番印象に残っているのは、'98年にGordon Parks(VogueやLifeの有名フォトグラファー)が撮影したXXL magazineの表紙「The Greatest Day in Hip-Hop Story」。この表紙は、'58年にフォトグラファー、Art Kaneが撮影した、アイコニック的なジャズのポートレート「A Great Day in Harlem」へのオマージュなんだ。僕たちは40年後に、同じハーレムの場所(17 East 126th street)で、合計230名のラッパーやヒップホップアイコンを集めて表紙の撮影をしたんだ。300名以上に撮影の連絡をし、みんな自費で参加してくれたんだ。撮影当日の時間帯が、ちょうどラシュアワーで車は渋滞だし、その当時大統領だったBill ClintonがNYCを訪問していたせいでストリートが閉鎖になったりと、トラブルだらけだったけど、それでも信じられないくらいたくさんのラッパーやヒップホップアイコン達が参加してくれた。名前をあげたらきりがないけど、Russel Simons、 Rev Run、 Rakim、 Slick Rick、 A Tribe Called Quest、 Busta Rymes、 Cam'ron、 Mos Def、Jadakiss等。Mos DefとJadakissは初めてRakimに会って、感動していた様子だったし、当時ハーレムに住んでいたBig Lにみんな連絡するのを忘れて、当日に連絡したら、たまたま近所にいたから、即撮影に駆けつけてもらったのを覚えているよ。撮影は3つのパートに別れていて、ビルの陰の問題で、撮影を早く進めなくてはいけなかったんだ。スタッフはマイクを使って参加者に指示したりと、大掛かりな企画だったけど、最終的に表紙が完成した時は本当に感動したよ。今でもあの時の感動は忘れていないし、また同じような企画が実現したら最高だね。



Universe:VIBEの前には、Global GrindでヒップホップアイコンでもあるRussell Simmonsと仕事をした経験がありますが、Russellはどんな人でしたか?

Datwon:才能、決断力、精神力と、全てが素晴らしいスビリチュアルな人だと思う。彼は3マイル離れていても、嘘を探しあてることができるね。彼から学んだ一番大事なことは「瞬間」。待たずに、来た仕事はすぐに片付けること。だから、ラッセルの会社の名前は、Rush Communications(Rush=ラッシュ=急ぐ)と名付けられたんだよ。彼と仕事するのは本当に大変だったけど、一緒に仕事することによって、彼がどうして成功して、Hip Hopのアイコンになったのか納得することができた。今は、彼から学んだビジネススキルとネットワークをフルに利用し、VIBEに貢献したいと思う。

Universe:今後予定しているプロジェクトは何ですか?

Datwon:雑誌以外にRec Rm.というアパレルブランドを立ち上げたんだ。ブランド名は、レクリエーション・ルームという意味で、幼少時代、両親の仕事の関係で福生のエアフォースに住んでいたことがあったんだけど、その時にレクリエーション・ルームがあり、そこでいつも卓球したり、バスケしたり、遊んでいたんだ。その時の思い出を再現したブランドだね。ストリートカルチャー、スポーツや遊びをミックスしたブランドで、以前にマイケル・ジョーダンのために、彼の「23」の番号をプリントしたスペシャルTシャツを作ったことがある。その他に、DJ トリビュート Tシャツも作ったよ。今後も洋服作りは頑張っていきたいね。

'58年にフォトグラファーであるArt Kaneが撮影したアイコニック的なジャズのポートレート「A Great Day in Harlem」

「A Great Day in Harlem」へのオマージュ、XXL magazineの表紙「The Greatest Day in Hip-Hop Story」('98)

 

www.vibe.com

www.datwon.tumblr.com

www.rec-rm.com

 

Interview&Text: Mimi Tamaoki

Photo: Mari J Brooklyn


DATE : 05.29.2011 | CATEGORY : CULTURE

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