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It Boys&Girls in Japan:Sugar-Water
 

2011.07.20

 

世界各地、様々な分野で活躍するアーティストを紹介していく企画『It boys & girls』。今回はグラフィティアートではなくイラストレーションで様々なカルチャーとのリンクを試みるSugar-Waterをクローズアップ!ブラックカルチャーを軸に精巧かつ大胆なタッチは他に類をみない。そんな彼のルーツや作品に対する思いを語ってもらった。



Universe:独特なタッチが特徴なSugar-waterさんの作品ですが、なぜこのような画法での作品作りになったのですか?

Sugar-Water:絵を描き始めた当初は、ブラックカルチャーというよりマンガ、アニメ、SF、ファンタジーが好きでそういうモチーフばかり描いていました。その頃の感覚がもしかしたら残って今に至っているのかもしれません。その頃はただ好きなだけで、作風だとかは意識してませんでした。完成させる事もままならないレベル止まりだったんです(笑)。その後、絵から一度離れたりもしました。そしてまた、20代前半でブラックカルチャーを好きになり、このカルチャーはどんな形でもいいから、参加してこそ意味があるんだなと気づきました。そして「何か」を表現したいと思うようになったんですね。丁度その少し前に1年位だけデザイン会社に就職してて、そこでお菓子や玩具のパッケージやラフスケッチなどの描写方法を身に付ける機会がありました。でもそれは全くARTや作品って言うものではなく個性の無い企業イラストレーションのタッチだったんですね(笑)。その時に自分が現時点で出来る絵の技術やセンスをどう活かして、他の作家と比べてアタマ一つ抜けるようになれるかをかなり悩んで作風作りをした記憶が有ります。

 

 

Universe:なるほど、最初から今の感じで描いていた訳ではなかったんですね。今現在は、作品を通して何を表現し、そして何を伝えていきたいとお思いですか?

Sugar-Water:この10年近く、自分の好きなブラックカルチャーをどう自分とリンクさせ、その魅力を伝えながら創作する事に集中していたので、そこは続けつつ今後は、和風と言う意味ではない日本的な自分らしさも込めて、オリジナリティを出していければ理想かなと思っています。アートっていう言葉は気を付けないと「何でも有り」になってしまう便利すぎる言葉だとも思うんです。だから僕は「良い絵」を描き続けていければと思います。

Universe:制作にあたりいつも苦労する点はありますか?

Sugar-Water:僕は手が若干遅いので、時間という部分ではいつも苦労はしてるかもです(笑)。もし自分以外の絵描きが同じモチーフを描いた時には「絶対に負けない!」みたいな意識はずっと有りますけどね。あとは最近の自分のタッチはクオリティを上げる為に、ついフォトリアルの様な写実に寄り過ぎる傾向が有るので、どこを抜いたりディフォルメするかに苦労しますね。

 

 

Universe:今の作風の原点である、ブラックカルチャーにはまったきっかけは?

Sugar-Water:きっかけは久保田利伸さんのCDだったと思います。と、言っても当時はあまりTVや歌謡曲などがあまり好きではなかったので、丁度メディアへの露出が落ち着いて来て、だんだんと黒くなってきたアルバムからでしたかね(笑)。そういう意味ではブラックカルチャーという「言葉」や「概念」を意識させてくれたのは久保田さんです。その後、黒人のビジュアルのカッコ良さや、独特なオシャレ感などに魅かれたのも有るんですけど、HIP HOPやゴスペルなどの音楽をしっかり聞き始めてますますのめり込んで行きました。やはり日本人や白人に無い独特の魅力や、いかつい男性が美しいファルセットで歌ったり、スキンヘッドなのにセクシー、洋服がオーバーサイズなのにお洒落みたいな相反する要素が多いのも魅力ではないかと思います。強いて言うなら外しや歪みや遊びの有る美学。圧倒的なクオリティやスキル、そして存在感にやられましたね。

 

 

Universe:影響を受けたアーティストは?

Sugar-Water:絵ではGustv Klimt、Alphonse Mucha、Keith Haring、天野 喜孝、寺沢 武一、安彦 良和。音楽ではTHA BLUE HERBのBoss The MCには、物作りのストイックなアティテュードなど影響受けました。

Universe:今後、作品にしたいアーティストはいますか?

Sugar-Water:今、思い浮かぶアーティストとしては、James Brown、Sammy Davis Jr、Ashford & Simpsonとかですね。あとは黒人ではないですがFreddie Mercuryもその一人です。それと、アーティストでは無いですが「New Jack Swing」時代の80〜90年代の雰囲気の絵も描きたいと思っています。

 

 

Universe:いいですね!作品として見てみたい人ばかりです!ご自身作品の作品以外にも、世界的に有名なスポーツメーカーであるモルテンのボールデザインなども手がけましたね。その時のエピソードを教えていただけますか?

Sugar-Water:企業的にはNikeやadidasのようなメインストリームのブランドではないので「ブランドロゴ」は小さくして欲しいとお願いされたんです。でも僕は、モルテンのロゴはストリート感も有りNikeやadidasに負けない素晴らしいものなので、敢えてブランドロゴを大きくしたアイデアも何点か出しましたね。わかってはいましたが、それらが選ばれる事は無かったです(笑)。結果的に採用されたデザインの商品が、ウェブのスポーツショップなどでも売り切れが有ったのは凄い嬉しかったのです。ただ、学生時代に多くの人に親しまれ、実力も認知度も有る日本のスポーツブランドが自社の「ストリート感」を理解しようとしないのは正直勿体ないと感じましたね。

 

 

Universe:今後の活動予定を教えて下さい。

Sugar-Water:昨年、初の個展などもこなし、今の作風が固まって約10年目だったので、今年はじっくり自分の作風を見つめ直して新たなタッチを研究したりし、作品に深みを出せればと思っています!

Universe:最後になりますが東日本大震災の被災者の方々にメッセージをいただけますか?また何かチャリティー的な動きがあれば教えて下さい。

Sugar-Water:直接被害に遭われた東北地方の方々を始め、この災害によって影響を受けたすべての方々に心よりお見舞い申し上げます。今現在に至るまで、作品を通じてはチャリティーなどは行わなかったです。むしろ行えなかったというべきでしょうか。今回の震災や津波によって絵を描く事、普通に生活する事など、今まで当たり前だった事を改めて考えさせられるほど、東日本大震災は自分にとって衝撃的で、人間の自然に対する無力さを感じさせる災害でした。これはメッセージではないんですが、その中で日本人が礼・義を重んじる素晴らしい国民である事、またこの国が平和すぎる故に骨抜きになってTVなどのメディアにすっかり丸め込まれている事実、日本という国、あるいは世界にもに溢れる「企業の利権」「メディアの隠蔽や情報操作」によって変える事が出来ないバビロンシステムの大きさを過去に無い程痛感させられました。ただ音楽やアートやデザインやカルチャーそれらの価値が、そして人間同士の気持ちや繋がりや心が、その哀しいバビロンシステムを超えれる可能性を持っていると、改めて自分は信じています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

mahogany soul – sugarwater from universe magazine on Vimeo.

 

 

Sugar-Water. (シュガーウォーター)

東京都在住。JAZZ, SOUL, OLD SCHOOLの表現者が多い世界で、90年代から現在のHIP HOP、R&B、そしてブラックカルチャーの表現の可能性を探り続ける。ただ憧れの世界を「模写」で描くのではなく、あくまでカルチャーのリアリティとオリジナリティにこだわる。

WEB SITE:http://mahogany-soul.com

 

 


DATE : 07.20.2011 | CATEGORY : CULTURE

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