Y-3Y-3
MURO TALKS ABOUT DIGOT
 

2011.07.29

MURO Talks About DIGOT

5月22日にオープンしたKing Of Diggin'ことMUROプロデュースによるセレクトショップ『DIGOT』。世界各地へと自ら足を運び買い付けて来た商品が並ぶ店内は、まるでおもちゃ箱のようで世代を問わず魅了している。今回は、昔話も織り交ぜつつオープンに至る経緯を語ってもらった。

 



 

Universe:今回またショップを始めようと思ったきっかけを聞かせて頂けますか?

MURO:以前、宇田川町でSAVAGEっていうお店を12年やってたんですけど、また今回始めるまでに色々とじっくり考えてみたんですね。色んなお店がどんどん閉店したり、レコード屋さんが減ったり、みんな家から出なくなってきたりとかで、このままではちょっといけないなって感じてました。そんな状況を踏まえつつやぱっり現場が必要だと考え始め、お店というよりはここに来れば僕がいて情報や意見が交換出来る人間交差点的な場所があれば何か変わるんじゃないかなと思ったのがきっかけです。アメリカで言ったらバーバーショップみたいな感じですね。当初から、今お店があるファイヤー通りにオープンしたいなと考えていまして。ここは90年代僕がバイトを転々としていた場所でもあるんですよ。ウチのレコード会社のボスもすぐそこでダンスのビデオを売っていたりして、そういう意味でもここは原点回帰かなと思い2か月程前にオープンさせました。

Universe:DIGOT(ディーゴ)の名前の由来は?

MURO:それは前回NYに行った時に決めました。向こうにHOME DEPOTっていうホームセンターがありまして、そのDEPOTの頭3文字をDIGに変えてDIGOTという造語を作りました。意味合い的には、僕が掘って来たアイテムを倉庫に入れて宝庫に変えたいなという意味です。なので造語だから、ディーゴって言う人もいれば、ディゴットって言ったりする人もいますね。中にはダイゴっていう人までいます(笑)。実際のとこはディーゴですね。でも基本的に造語なので、僕は色んな呼び方があってもいいのかなとも思ってます。とにかくDIGっていう僕が日本で広めた単語を、どうしてもお店の名前にも使いたいなと思い決めました。

Universe:お店で販売するアイテムの買い付けとレコードをDIG(掘る)する事の共通部分っていうのはありますか?

MURO:もう全てが似ていると思います。まずHip Hopのプロダクションっていうのが、ロックのドラムをこっちから持ってきて、次はジャズのベース。そしてクラッシックのドラムをまたはめて、そこにラップを乗っけるみたいな作業ですよね。まさにパッチワークみたいに素材を貼り付けて一枚の作品を作る感じじゃないですか。それとすごく似ていて、服もあっちこっちから持ってきた物を貼り付けて作るのが凄く好きなんです。だからお店もその感覚を一番大事にしたいなと思っています。これはお店に合わないかな?とかは抜きにして、一回自分の好きな物を放り込んでみたいというのが今回はピュアにありました。

 

MURO Talks About DIGOT

Universe:インテリアや什器などもMUROさんのアイデアで?

MURO:そうですね。遡って話をすると、実は前のSAVAGEの時も本当は今のウッディー調にしたかったんですけど、当時はそういう内装のお店が周りに多かったんですね。そんな中たまたま通りかかった工事現場からインスピレーションを受けて建築系の仕事をしている人に頼んで内装を作ってもらいました。何でも完成してしまうとつまらなかったり淋しかったりするので、未完成の状態で気持ちも盛り上げてたいというコンセプトでSAVAGEは始めたんです。当時のレコード用の什器もやっぱりそれに伴った物で合わせたかったので、よく道路の脇にあるU字溝の大き目のサイズが丁度LPのサイズに合う事に気付き、それをレコードケースにしたんですよ。フロント部が丸くなってたので、NYの地下鉄をイメージして数字やアルファベットを入れて自分で作ったりと。外人さんがお店に来た時は、こんな什器は見たことないってかなり褒められました(笑)。それは自分が思いついて作った物だったからものすごく嬉しかったんです。それがきっかけで色々と考えが広がって、何でも一度形にしてみんのも面白いなあって。なので基本的に僕の発想はレコードの30センチ×30センチの大きさを基準に考えています。今のお店もレコードが好きっていうのも勿論あるんですが、その時の嬉しい気持ちを思い出しその大きさに区切ってもらったんです。自分の世界観にマッチしてますしね。

Universe:発想の基準が全てレコードからっていうのがMUROさんらしいですね。

MURO:そうなんです!デザインとかをやらなきゃいけない時も、大体レコードショップか自分のライブラリーを掘ってイメージを沸かせてます。色だったり、人だったり、動物や乗り物だったり全部がレコードのジャケットには詰まってるじゃないですか。個人的にその作業が面白かったりしますね。元々レコードの入りが小学校3年生位にソノシートからだったんで、もう体にレコードというものがしみ込んでます。

Universe:お店の買い付けの場所はどちらで?

MURO:今回は10年以上ぶりにポケットに大金入れ、素知らぬ顔をしながらNYに買い付けに行きました(笑)。原点回帰というか、まずはフリーマーケットに行くしかないと思い、ブルックリンブリッジの下の大きなフリーマーケットに行き、手始めにフルーツジュースを飲んでからスタートみたいな(笑)。その後2、3ヶ所回って脳をリフレッシュさせながら、自分が素直に面白いなと思った物をチョイスして来ました。もちろんレコードから雑貨までありまして。そんなこんなしてるうちに昔の感覚を色々と思い出してきたりして。こういうもんが店にあったら面白いなとか、あの什器にはこれが合うなとか考えながら買い始めたんですね。多分先に街から買い付けに行ってたらちょっと混乱していたかもしれなかったです。

Universe:お店の品揃え的に雑貨やおもちゃの割合が多いなと感じたのですが、そこの部分も意識しているのですか?

MURO:元々はおもちゃが大好きなんです。またちょっと遡って話してもいいですか?

Universe:是非お願いします!

MURO:よく建設会社とかに○○組みたいなのがあるじゃないですか。僕も何か組を立ち上げて面白い建築物作るのが昔の夢だったんですよ(笑)。中学卒業してそういう組を作るからってお袋にも話してみたんです。そうしたらお袋が「でもそれしたらあんた遊べないよ」みたいなことを言ってくれて、それもそうだなと思いなんとなく納得したんですね。そんなので悩んでいたら今度は「お前が選ぶ場所によっては、専門学校のお金を出してやる」って言われたんで、今は亡きアーバンデザインカレッジってとこのトーイ(おもちゃ)デザイン科に行こうかと思い両親に相談してたんです。そしたらまた「就職先はバンダイかタカラ位だろ」みたいな事を言われ、それでその話が終わってしまったんですね(笑)。でもグラフィック科だったらお金を出してくれるって言ってくれて。じゃあ、グラフィックでいいやみたいな感じで通い始めたんです。実際はグラフィック科なのにトーイの授業を受けてるみたいな(笑)。それ位おもちゃが好きで。ただそこでグラフィックを学んでたのも、やっぱりよかったんです。例えばパッケージデザインとかをやっていたので、それはそれで役に立ってるんですよ。DJのイベントを始めてやって、フライヤー作ったのもその時だったりとかで。



Universe:なるほど。MUROさんの音楽性や全てのセンスはそういう所からも来てるんですね!

MURO:嬉しいです。ありがとうございます。

Universe:今後はヨーロッパであったり、アメリカはNY以外の地域での買い付けはお考えですか?

MURO:もちろん考えてます。僕の場合、買い付けをする理由として音楽的な影響がやっぱり大きいんですね。今回のNY買い付けもそうでした。NYのサウンドに昔にはまって以来、ずっと行き来しているうちに音楽のレンジも段々と広がっていったんです。それで2000年位になってからバハマとかバルバドスとかそういうウエスト・インディーズ(カリブ海の島々)とかの島のファンクとかを聴いてたんですよ。その流れでアフリカにも興味を持ち出し、行きたくてしょうがなくて。それで去年初めてアフリカに行けたんですね。現地に着いて大地を自分の足で踏みながら実感して、本当の意味の原点回帰をし、やっぱり黒人のカルチャーが本当に好きなんだと自分で再確認しました。なので僕のベースにあるNYのフィルターを通して世界各地を見たり、聴いたりすることに重点を置いています。この間上海に行った時も普通に買い付けしました。それは一眼レフのレンズ型のタンブラーだったりとかね。またそういうユニークな物がいっぱいあるんですよ。とにかく中国人のパワーってすごいじゃないですか。そのパワーの中から生まれた物ってかなり面白いのがあります。その中で黒さを感じる物を店に置いたりとか、ださかっこいいアイテムも混ぜていきたいんですよ。

Universe:そのダサかっこいい物って、はまると究極にかっこいい物にも化けますよね。

MURO:そうなんですよ!そういう意味で僕はEric.Bのスクラッチが下手うまで最高に好きなんです(笑)。一度クラッシュともその話になって、大したことやってないのに何でかっこいいんだろうなみたいな。でもそれってジャズでいう「間」だったりするんですよね。やっぱウエスト・コーストのアーティストは聴いているとみんなスキルフルなんですよ。でもイースト・コーストの人は感覚だったり間だったりを上手く使う空気感があるんで、やっぱり魅かれちゃうんですよね。だから自分のプレイにもそういう「間」を大切にしています。ちょっと話がそれてしまいましたけど、今後の買い付けでヨーロッパは特に楽しみですね。当たり前ですけど、アメリカと全然違うし、かなり刺激になります。10年程前にイギリスに行った時に衝撃を受けたことがあって。それは、アメリカだと黒人はラルフ・ローレンのポロシャツを着ているじゃないですか、でもイギリスの黒人はイヴ・サンローランのポロシャツを着ていてびっくりしたんです。しかも配色がラルフでやってないようなのばかりでね。なのでそういう感覚というか、アイテムも取り入れていけたら面白いんじゃないかと思っています。

Universe:オリジナルのアイテムなどは今後展開していくんですか?

MURO:日常で使えるものを作りたくて雑貨を制作しています。DIGOTのアルファベットを一文字づつ上手く使ってアイテムを作っていますので楽しみにしていてください。



Universe:実際にMUROさんご自身がお店にも立たれていますが、お客様の反応はどうですか?

MURO:お客さんはびっくりしてます(笑)。いま皆が何を求めているのかを知りたくて、一言二言でも会話したいなって思う気持ちで店には立っています。せっかく店まで足を運んでくれてる訳だから、何かしらの情報交換が出来たらいいなって。すごい楽しいですよ。僕からしてみたら自分の店に立つというのは普通の事なんですけど、やっぱりお客さんからするとびっくりするみたいです。写真撮ったりサイン書いたりとかやっぱり嬉しいですよ。昔の店に通ってくれた人が、家族連れて来てくれたりとか。ムロさんムロさんって、毎週来てくれるドイツ人のハーフの子供がいてホント可愛いんですよ。ちなみにSAVAGEの時は、僕の名前を子供に付けてくれた人が二人もいて、一生背をわせちゃって大丈夫かななんてのもありました(笑)。

Universe:今後お店名義のコンピレーションアルバムを出す予定などはありますか?

MURO:まだ予定はないんですけど、是非やりたいです!『DIGOT DISCO』とかね。思いつきで言ったけどいい感じのタイトルですね(笑)。それとは別なんですけど、今月EMIから『ELEGANT FUNK』というタイトルで、82、83年辺りの80'sファンクのミックスCDが発売されます。あとはアナーキーのアルバムを全曲プロデュースしたやつが8月3日に発売されますので宜しくお願いします。

 

DIGOT

〒150-0041

東京都渋谷区神南1-3-3

サンフォーレスト神南MORITA BLDG 1F

Tel:03-6809-0861

12:00〜20:00

Photography:KEITA SUZUKI

Text:Universe magazine

 

 

『ELEGANT FUNK Mixed by MURO』

世界が注目するKING of DIGGIN'の最新ミックスは、人気セットのひとつとして知られる”エレガント・ファンク”。今回のミックスでは、そんな移り行く時代ながら、エレガントであることに徹底した(『なんとなくクリスタル』は関係ない?)サウンドに焦点を当て、ジャズ、フュージョン、ソウル、AORといったジャンルを跨いだファンクをヴァイナル目利き=MUROの視点で特集している。8月6日にはVeloursにてリリースパーティが行われる。

 

『Diggin' Anarchy』

1st, 2nd両アルバムがMUSIC MAGAZINE邦楽ヒップホップベストアルバムを受賞したANARCHY渾身の3rdアルバム。なんと今回は全曲MURO(K.O.D.P.)プロデュース!MURO自身も初の試みとなるこの10曲入りアルバムは、Anarchyの10の顔を見せるというのがテーマ。ビートだけでなく、スキットや曲間、アートワークなどアルバム全体をMUROと共同制作。

 

7/6〜 「Side B」レコチョクで着うた先行配信

7/13〜「Side B」 レコチョクで着うたフル/iTunes先行配信

7/20〜「Magic Hour feat. Pushim」レコチョクで着うた先行配信

7/27〜「Magic Hour feat. Pushim」 レコチョクで着うたフル/iTunes先行配信

 

 

 

 

 


DATE : 07.29.2011 | CATEGORY : CULTURE

635pxライン画像

THROWBACK