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APPLEBUM 10th Anniversary Special Interview
 

2015.02.24




一枚のTシャツからその歴史をスタートした “APPLEBUM” が今年でブランド創設10周年を迎えた。そこで今回は、紆余曲折あったであろうブランド立ち上げ当時からの話や、洋服への熱い思い。そして、これからの10年に向けての展望などを、余すことなくお話いただいた。それではお楽しみください。





ー それではまず、アップルバムを始めたキッカケを聞かせていただけますか?


宮尾 (以下M):もともとは高校の同級生なんです。長い間会ってなかったのですが、ある晩クラブですれ違ったりというのはありました。


坂口 (以下S):あれは雷のイベントだね。当時僕は完全なるマイクロフォン・ペイジャーと雷のキッズでした。その時代の空気にどっぷり浸かれた事は現在の自分に大きな影響を与えていますね。


M:当時、僕は日本のヒップホップのジャケットのデザインやPV制作をしていました。その頃はアーティストさん達が洋服のブランドをやり始めていた時期で、その手伝いもやったりしていたんです。


S:当時はそのことを僕は知りませんでした。


M:クラブですれ違ってから何年か経って、今度は同級生の結婚式で会ったんです。


S:その後、僕が宮尾の家に遊びに行く様になり、そこから何かやろうよって話になって。発端は共通の友達がやってるイベントTシャツを勝手に作ろうとした事かな?(笑)。とにかく一番最初に作ったのがスリック・リックのフォトTだった事は覚えてます。アイロンプリントの簡易的な物でしたが、出来上がりを二人で見て「これって売れるんじゃないの!?」みたいな話になったんです。服作りに関しての知識や方法など何も知らない状況でしたけど、不思議と自信はありましたね。あとセンスの良い後輩が一人いたので、その彼を誘って3人で始めました。

ー その当時に今のブランド名である “APPLEBUM (アップルバム)” が誕生したんですか?


S:名前が先か? Tシャツが先か?


M:デザインを作りながらだったと思うよ。


S:週一で代々木のデニーズに集まってミーティングしてました。


M:そうそう、ウチがダメな時は、デニーズ行ったりしてたね(笑)。ウチには広めのルーフバルコニーがあって、そこで“APPLEBUM” という名前が生まれたんです。






ー ブランド名であるアップルバムの由来は?


S:トライブ(ア・トライブ・コールド・クエスト)の「Bonita Applebum」からです。


M:いま考えるとあの曲はAPPLEBUMを象徴するようにゴリゴリではない素敵な曲だったんです。そういう曲が大好きで昔はクラブにも行ってたけど、今は音楽も聴かなくなってしまったような人達に、その当時の空気感を感じられる服があったら共感してもらえるんじゃないか?と思ったんです。


S:トライブはジャンルを越えた存在だと思う。そんな存在になりたいなって。


M:今もそのコンセプトは変わってない。対象とする人が拡がって来てはいると思いますが。


-アップルバムをやり始めた時バン1台を買ってTシャツサンプルを全国に見せて回ったと聞いたのですが?


M:最初自分達でお金を出し合って椅子やテーブル、そしてiMac1台を買いました。友達の事務所をタダ同然で借りて、自分達で壁にペンキ縫って…。今もそうですが最初からすごく周りに助けられてました。


M:電話でお店に営業して絵型やTシャツのボディを送って見てもらったりして。最初のTシャツが売れたお金でバンを買って…。で、実際にそのTシャツを買って頂いた地方の取引先への挨拶と、新規営業も兼ねて片っ端から全国を回りましたね。その時は根拠のない自信があったから、これ見せれば絶対気に入ってもらえると思っていたし。


S:必死でした。どうやったら知ってもらえるか。それまで人に頭下げるなんてできなかったのに、「すみません」と普通に言えてた気がします。きっとその頃が転機だったんです。




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ー 4年程前に、ウータン・クラン(以下ウータン)とコラボされたと思いますが、ずっと考えていてやろうと思っていた事なんですか?


M:正直言いますと、そんな事思ってもいませんでした (笑)。自分たちの力だけじゃなく、周りのみんなが繋げてくれたおかげです。運が良かったなぁって思います。ニューヨークでウータンを統括している人間に会った時はちょっとビビっちゃいましたけどね (笑)。


ー コラボレーションのアイテムが完成した時の気持ちはどうでしたか?


S:自分のところの商品じゃないみたいな感じはしてましたね。どこか客観的に見てしまって。


M:凄いことになったなぁと思いましたが、企画が始まってから実際に形になるまですごく時間が掛かってしまい、出来た時はちょっと新鮮味が薄れていました (笑)。


S:予想以上に交渉に時間を取られてしまったんです。NYに行ったり、こっちでスカイプで話したり。契約に至るまでトータルで半年以上は掛かりました。いろんなエピソードありますけど、あまり言えません (笑)。


ー そのアタリが聞きたいとこですけど!(笑)。


S:スタッテン・アイランド独特の方言というかスラングがあるから、ウチの通訳が分かんないんですよ。あと会議予定の日に居ないなんてこともザラでしたね (笑)。


M:それ多かったね!会議しようっていうのに、一向に会議にならない。最終的にリリースするまで1年以上掛かかりましたよ。


ー アップルバムのデザインは常に音楽と、特に90年代のヒップホップと関連していると思いますが、それはコンセプトなのでしょうか?


S:90年代がコンセプトという事ではありません。ヒップホップが提唱する''オリジナル性''・''ユニティ''という考え方が根本にあります。1つの括りに収まりたくはないですね。リアルタイムで過ごした90年代は好きで当たり前ですが、だからこそ焼き直しただけの風潮は嫌いです。僕らの世代は「これがヒップホップだ」みたいな括りや情報がなかったし、ストリートファッションというカテゴリーもなかった。自分の嗅覚だけが頼りでした。そのやり方は今でも変わらないですね。だからカテゴライズされた嘘っぽいストリートシーンとかはどうでもいいんです。







ーヒップホップやストリートカルチャーのファン以外のお客様にアップルバムの洋服を届けたいと?


S:そこがテーマですね。ヒップホップやストリートファッションに興味がない人にも「カッコいいな」と思ってもらいたい。自分たちが培って来たモノをそのカルチャーを知らない人達にも理解してもらいたい。そこは凄く意識しています。物作りもそこが根底にあるような気がします。


ー お二人にとって洋服作りとは何ですか?


S:表現方法の一つだと思います。洋服って凄く人をアゲる事が出来るというか、、大げさかもしれないけど幸せに出来るものだと思ってます。デートで身につけたり、アーティストが衣装にしたり、人がアガるような役割を担っているんだなぁってある日気付いたんです。


M:どんな風に思って作ったとしても、それまで見て来たものや経験、自分達が大事にしているものが服となって出ると思います。


S:宮尾とよく話していたのが、オレらはサンプリング文化世代ということ。例え演歌だろうが童謡だろうが何だろうが、ありとあらゆるジャンルの音楽をB-BOYがサンプリングという名の料理をするとヒップホップになってる。それがヒップホップの魅力だと思う。そういうフィルターになりたいと思っています。


ー その強い思いがあれば、世界中で展開することも可能だと思いますが、そのお考えはありますか?


S:やっぱりアメリカ発祥の文化なので、尚更モノマネで終わりたくない。コスプレ商人にはなりたくない。『オリジナル』が核にないと勝負出来ないと思います。その準備は出来てます。日本人なので自然体でいれば彼らとは違う切り口になるのは必然だと思います。


ー アーティストたちとコラボするというのは、これからもあるのでしょうか? すでに何か決まってる企画などありますか?


M:2月末から映画「ゴッドファーザー」とのコラボを発売します。アーティストに限らずブランドとのコラボも予定しています。


S:考えてみれば自分たちが憧れた好きな人と一緒に仕事してお金がもらえるなんて最高ですね。10年前にはウータンと仕事してお金がもらえるなんて夢にも思ってなかったですし。


M:スチャダラパーやライムスターの衣装をやらせてもらったり。スチャダラは一昨年が23周年だったから、23繋がりで。


S:やっぱり『好き』って言ってると不思議と繋がるんですよね。僕らが『ジョーダンが好き』と言い続けてたらスチャダラパーの皆さんに「アイツらジョーダン好きだよなぁ」と言って頂いて、23周年だから23番で何かやってくれよってなった。




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ー 思いは伝染するといことを見事に証明した訳ですね!お二人から見た現在のストリートカルチャーと90年代の違い、そしてどんな変化を感じていますか?


M:80年代、90年代のヒップホップをリアルタイムで聴いていた人達は感度が高かったんだと思います。それが今はずっと一般的なものになって薄まってきているから、当然新鮮味とか緊張感とかは少なくなって来ているとは思います。それでも今後も面白いものは、ストリートから生まれてくると思います。音楽にしろ、アートにしろ。今もどこかで新しいもの、面白いものがどんどん生まれてきているんだと思います。

ー 最近は子供服も手掛けているようで、伊勢丹にもポップアップショップをやっているようですが、子供服をやろうとおもったキッカケは何でしょうか?


S:キッカケは子供が生まれたからっていう、良くあるストーリーです (笑)。もっと規模も大きくしていきたいですね。


ー ブランドはこれから20年目へと向かって行くワケですが、その10年後のビジョンはありますか?


S:会社としては、人をアゲるとか幸せにするという事を基本的な理念としています。それは洋服というアウトプットに限らず、もっと多くの人たちに向けて他の手段も考えてます。


ーこれからもカッコいいAPPLEBUMの洋服を期待しています。最後にAPPLEBUMのファンのみなさんへ一言いただけますか。


M:APPLEBUMの服というのは生活必需品ではないですが、そういういわば必要ではないものを高いお金を出して買って頂いたお客様のおかげで成り立ってるから、本当に感謝しています。大事な人とデートする時とか、ここぞって時に着てもらえる服になって欲しい。もっと喜んでもらえる服を見せられるように頑張ります。


-感謝ってステキですよね。


S:感謝しかないです!


 


 


 


  • APPLEBUM 2015 Spring/Summer Collection
    APPLEBUM 2015 Spring/Summer Collection


 







■INFO:APPLEBUM オフィシャルウェブサイト








 


DATE : 02.24.2015 | CATEGORY : Details, INTERVIEW

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