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it boys & girls in NY: K-Prince
 

2011.05.29



日本とアメリカ、両国のクリエイターやレコードマニアから絶大な信頼を得ているK-Prince。レコードバイヤー歴はなんと18年。ブルックリン、ウィリアムスバーグ地区にある自宅の1室は、まるでレコードショップのように、天井まで苦労の末に掘り出された約2万枚程のレコードがびっしりと並んでいる。大学時代に趣味から始まったレコード収集が、今では彼の天職となった。長年の経験で養った幅広い音楽知識と鋭い選曲眼を持つK-Princeに迫ってみた。

 

 

Universe:あなたのバックグランドを教えてください。

K-Prince:元々は83年に親の仕事の都合でNYに来たんです。当時はまだ成田→JFKの直行便が飛んでなかったのでアンカレッジで給油して、巨大なシロクマの剥製の前で記念撮影をしたのを覚えています(笑)。確か1ドルが250円でした。両親と兄が帰国した後も、僕は大学へ行くためにアメリカに残りました。ボストンの音楽大学希望だったんですけど、親に反対されて嫌々ピッツバーグの大学に行くことになったんです。ピッツバーグでの生活は、NYに比べると遊ぶ場所も少ないし、友達も居ないし、本当に退屈でした。そんな状況から救ってくれたのが、Jerry's Records。その当時は細長いビルの2階と3階にあった小さなお店だったんですけど、すぐ向かいに12インチ専門店もあって、授業が終わったら真っ先にチャリを飛ばして向かいました。数年後に体育館4つ分くらいの大きさの建物(車のディーラーがあった跡地)に引っ越して、天井までぎっしりレコードが山積みされた、全米1の在庫数を誇るレコード屋になったんです。オープン当日は、U-Haulというレンタルトラック屋で売っている段ボール10箱以上を一人で買ってしまいました(笑)。そして、向かいにあった12インチ専門店が潰れる時に、ジェリーズレコードが在庫を買い取ったんですけど、12インチの知識が全くなかったので、僕が12インチ担当として雇われたんです。更に川を越えてもう1軒、Atticというレコード屋でもバイトしていたので、当時は日系のスーパーとレコ屋2件のバイトの計3つ掛け持ちしていました。

Universe:ブラックミュージックに興味を持ち始めたきっかけは?

K-Prince:小さい頃からレコードが好きで、付録にソノシートが付いている雑誌とか、好きなプロレスラーやアイドルのレコードなんかを買ってました。中学・高校時代はロックが好きでしたね。ブラックミュージックを真剣に掘りだしたのは、大学でピッツバーグに引っ越してからかな。もちろんJames Brownぐらいは知ってたんですけど、Stetsasonic(ステッツァソニック)のアルバムを聞いた時にJames Brownの音が流れて、その上にラップが乗っかっているのに衝撃を受けました。その当時はサンプリングなんて言葉も手法も知らないので、んん!?どういう事だ!?と思ったんです。色んなヒップホップの曲を聴いたり、サンプルのクレジットを見ていくうちに、サンプリングとか、ブレイクビーツを2枚がけする意味が分かってきて、元ネタやブレイク中毒になりました。



Universe:レコードバイヤーを始めたきっかけは?

K-Prince:レコードが人生を狂わせ、大学を中退し、レコードバイングに没頭しましたね。NYでは既にレコードにプレミアが付いていたので、初めはそういった人気盤をピッツバーグで探して、ある程度レコードがたまったら車に積んで、好きなイベントやライブのスケジュールに合わせて、NYに売りに行っていました。まだ若かったし、お気に入りのミックステープをカーステでパンプアップしたら、片道6時間の運転なんて全く苦じゃなかったんですよ(笑)。当時、NYの店頭で$50で付いていたDavid Axelrod(デヴィッド・アクセルロッド)のレコードが、ピッツバーグでは1枚1〜3ドルで入手できたので、それをNYの売値の半額の25ドルでお店に卸して、売り上げを作っていました。また、他のコレクター達とトレードして、自分のコレクションも着実に増えていきましたね。

Universe:日本へ卸し始めたきっかけは?

K-Prince:日本で一番初めに卸したお店は、名古屋のDownstaire Recordsというお店です。当時(93年)ピッツバーグでバイトしていたレコード屋、Atticに日本人のお客さん二人組が買い付けで来ていて、日本語で話しかけられたんです。アトランタのホテルにパスポートを忘れたから、英語で電話してくれないかと頼まれ、電話をしてあげたら、50ドル札を渡してきて、結局遠慮させてもらったんですけど、代わりに買い付けを頼まれたんですよ。その時は、「買い付け」という言葉も知らなかったし、あまり本気にしていなかったのですが、住所を教えたら、翌週にはU.S. Black Disk Guideというガイドブックが送られてきたんですね。中を見ると欲しいレコードに印が付いていて、さらに買い取り額が書いてあったんです。NYに持って行くよりも高い値段だったので、本当かな?と曖昧に思いながらも希望のレコードを送ってみたら、口座にすぐお金が振り込まれてビックリでした。これがきっかけで、日本との取引きがスタートしました。とにかく雑誌やミックステープで紹介された盤なら、何枚でも売れるレコードバブル時代も経験出来ましたし、今でも信じられないぐらいのタイトルと量を昔は売っていました。多い時には、1週間で1000枚以上のレコードを集めて送っていましたね。



Universe:レコードバイヤーの仕事内容とは?

K-Prince:昔はお店からリストが送られてくる場合もありましたけど、最近はほとんど無いですね。定番を始め、人気DJがプレイするもの、ミックステープに収録された曲なんかが良く売れますね。あとは視聴して掘り当てた「ニューディスカバリー」もの等も混ぜて送っています。

Universe:どこでレコードを探し、どこへ卸しているのですか?

K-Prince:最近は大分衰えたので、遠くても南に8時間程下ったバージニアだったりとか。あとはルーツに戻り、今の自分を育ててくれたピッツバーグには良く行きます。ピッツバーグは、巨大なレコード屋が2軒もあるので、じっくり視聴したら確実に新発見も出てきますよ。あとはフリーマーケットとか、各地で月一ぐらいのペースで開催されるレコードのコンベンションにも行きます。普段観光で行かない田舎街ばっかりなんで、新鮮な気持ちになれますし、気分転換にもなります。レコ屋の情報は、友達から聞いたりと主に口コミで仕入れてますね。今卸しているのは、広島のStereo Recordsや福岡のTicro Market。あとは不定期ですが、マイメンのDJ Tus-OneがやっているVinyl Whizや、バターCさんのSoul Clap Recordsにも卸しています。Discogs でネット販売もしています。日本人のアーティストだったら、Muroさんとは良くトレードさせてもらっていますよ。NY内だったら、D.I.T.C.のLord FinesseやShowbizにもネタやドラムを売っていました。マンハッタン内では、Big City Records、A-1 RecordsやAcademyですかね。

Universe:今までバイヤーをやっていて、大変だったことは?

K-Prince:好きでやってるんでそれほど苦に感じることはないんですけど、しいて言うならば腰痛ですかね。お店で綺麗に陳列された棚からレコードを抜くのは楽ですが、倉庫に行くと、山積みになったレコードを崩し、視聴済みのものは箱に詰め、買わないレコードは元のレコードの山に戻さなきゃいけないのでかなりの肉体労働ですね。もの凄く変な体勢で長時間見続ける事もあります。一度ぎっくり腰なんてやっちゃうとクセになるんでね。あと、ゲットーに買い取りに行くと、ゴキブリとかネズミの問題もあって大変です。ヤツらはレコードのジャケットも食べちゃうんですよ。段ボールを開けたら、レコードの形にそって丸く噛まれていたり。ブロンクス在住のおじさんの家にコレクションを買い取りに行った時は、キッチンにレコードが置いてあったんですけど、キッチンカウンターを見たらゴキブリの糞で真っ黒になってるんですよ。良く見るとフライパンの上も同じ状態でした。おじさんに、グリルドチーズ・サンドを作ってやるよと言われた時は、困っちゃいましたね(笑)。あっ、White Plains Road(Bronx)のレゲエ屋でトイレを借りた時、便座を開けたらドーナツ盤より大きいネズミの死骸が捨てられてて即退場したこともありました!

Universe:危なかったエピソードは?

K-Prince:インディアナ州のゲーリー(ジャクソン5の出身地)という街の家具屋さんにレコードを買いに行ったんですけど、その当時アメリカで最も危険な地域だったんです。しかも、自分が乗っていた日産のパスファインダーが最も盗難率の高い車でもあって、買い物を終え、レコードが詰まった段ボールを持って車に戻ったら、後ろから4、5人に追われて死ぬ程ダッシュした時は本気で怖かったです。

Universe:逆に一番おいしかったエピソードは?

K-Prince:レコード以外にも猿の玩具をコレクトしていた時期があって、旅先の電話帳でレコ屋、玩具屋、アンティーク・モールを調べては、片っ端から周ってたんですよ。デトロイトで行った事のない玩具屋さんが電話帳で載っていたので寄ってみると、隣にオープン前のレコ屋さんがあったんです。覗いてみたら、もの凄い在庫量で感動しました。店主と交渉して見せてもらう事になったんですけど、とにかく無いタイトルが無いっていうぐらい当時売れていたヒップホップやディスコの12インチが、レーベルの品番順に並んでいたんです。その時ほど楽に莫大な量を買い付けれたことは、それが最初で最後でしたね。

Universe:今まで一番見つけて嬉しかったレコードは何ですか?

K-Prince:最近の発見だと、「Fusion Beats Volume.1」っていうヒップホップ黎明期のパーティーでプレイされていたブレイクビーツをエディットしたレコードです。一般的に知られているFusion Beatsっていうレコードは、ヒップホップのゴッドファーザー、アフリカ・バンバータとアフリカ・イスラムがJames Brownの曲をテープ編集でメガミックスしたものなんですけど、その盤を良く見るとVolume.2って書いてあるんですよ。これだけインターネットが普及しているのに全く情報が載っていないし、Volume.1は存在するのか?ってずっと気になっていたんですよ。その盤をレコード屋のゴミ棚で見つけた時は頭の中が真っ白になりましたね。



Universe:K-Princeさんが感じるNYの魅力を教えてください。

K-Prince:Melting pot(人種のるつぼ)と言われているだけあって、世界中の色んな音楽や食べ物、カルチャー、常にフレッシュな発見があるところですね。レコード的に見ても色んな国やジャンルの面白いレコードがいっぱいありますよ。ウチの近所ではポーランドのレコードがスリフトショップにも転がっているし、ちょっと東に行けばカリプソとかソカが道端で売られているし。フリーマーケットでジャケ買いしたロシアのレコードには、定番ディスコブレイク「I Can't Stop」のビッグバンド・カバーが入っていたり。アメ盤だけでもキリがないのに、レコ掘りに終わりはないなあ、って思わされます。生きているウチは掘り続けて、出来るだけ聴いた事のないレコードを手に取って、聴きまくり、良い曲を発掘していきたいです。

Universe:最後に、どうしても欲しいレコードで未だ入手していないレコードはありますか?

K-Prince:俗にいう「レア盤」で未だ見つけた事のない盤はたくさんありますけど、レア盤を追求するタイプではないんですよ。レコード屋の壁に飾ってある100ドルのレコードは既に知られているし、良くて当たり前なので、それを見ても興奮しないですね。それよりも1ドルコーナーの常連アルバムだけど、誰も知らない一瞬のグルーブやドラムを発見する方が興奮します。

 



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K-Princeオススメ レコードショップ

The Vortex:222 Montrose Ave, Brooklyn, NY 11206 / (718) 609-6066

Unique Thrift Store:218 W 234th Street, Bronx, NY 10463 / (718) 548-1190

Big City Records:521 E 12th St, Manhattan, NY 10009 / (212) 539-0208

Academy Records:415 E 12th St, New York, NY 10009 / (212) 780-9166

 

 

BBP2003年にZunbugと立ち上げたCreative Agency。現在はヒップホップの黄金期や、レコード掘りをテーマにしたアパレルをメインに展開中。

 

PROFILE:Name・K-Prince,   Occupation・レコードバイヤー / BBP Founder / DJ,   Hometown・東京,   Age・37歳,   NY在住歴・27年(www.discogs.com/sell/list-seller=peeweemal)

 

Interview&Text:Mimi Tamaoki / Photo:Mari J Brooklyn

 

 

 


DATE : 05.29.2011 | CATEGORY : INTERVIEW

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