男女問わず抜群の人気をほこるDJ SARASAがニューアルバムをドロップ。アフリカをテーマに作られた今回の新作は、曲を知る事が信念である彼女らしい仕上がりに。常に問題作と言われ続ける彼女の作品の裏にはどんな意図がかくされているのか、Universe magazine独自の視点からせまってみた。
Universe:今回のミックスCDを制作するにあたり、一番頭を悩ませた、もしくは頭使ったことを教えて下さい。
DJ SARASA:ずばり曲集めですね。アフリカ直のヒップホップってレコ屋はもちろん、ネットや本にもほんとに曲が出回ってないんで、それを探すのにすごい手こずりました。直接レーベルに連絡したり、あとは実際にアフリカに行った人に会って直接話を聞いたりと。面白いのが、お借りした現地のCDがいかにもアフリカっぽいていうか、めっちゃ手作り感満載なんですよ(笑)。ラベルも自分達で貼ってあるみたいな。実際にクレジットの字が潰れて読めないのがあって、トラックリストで「?」表記にしたのもあるくらいなので。
Universe:コンセプトが決まってから、素材探しに入った感じなのかな?
DJ SARASA:一応、入れたいアーティストは決まってたんですけど、いざ曲を集めてこれを繋げられるかっていうと、ヴァイブスやBPMも全然違ったりして、さらには急にアフリカっぽすぎる曲になったりとかで、始めに自分がイメージしたようにはいかなかったんですね。またそこから、探すという作業が増えました。もう大変すぎてリリースできないかと思った・・・。
Universe:実際の制作期間はどのくらいで?
DJ SARASA:2週間ですね。レコーディング自体は2日程なんですが、その前に素材を探したり、曲順を決めたりする準備期間が大変でした。
Universe:今作で唯一ミックスされていない、26曲目の「I'll Never Understand」をミックスしないと決めた決定打は何だったのかな?
DJ SARASA:SHADって、私がカナダでラジオ番組をやっていた頃からの友達で、よく私のラジオ番組にフリースタイルをやりに来てくれたりしてたんですよ。今はカナダで色々な賞をもらったりして成功してるんですけど。そのSHADのお母さんがルワンダの大虐殺で体験した当時の悪夢と、それを乗り越える力を詩に綴ったものなんです。彼のファーストアルバムにこの曲が入ってまして。内容的に和訳を付けさせてもらったんですけど、ほんと混ぜられないくらい内容が重たくて。なんて言うんだろう、ミックスしていくと、前の曲とのテンションや内容があまりにも違いすぎるので、混ぜないで1曲丸々聞かせようと決めました。この曲はしっかり聞いてメッセージを受け止めて欲しかったから。
Universe:唯一の日本人Cello a.k.a. Massan(チェロ・エー・ケー・エー・マッサン)を起用した理由を詳しく教えていただけますか?
DJ SARASA:マッサンは以前イベントで一緒になったことがあって、その時からスゴイ上手いなあとは思ってたんですね。それで先日マッサン自身もアルバムをリリースした時に、彼のアルバムのコメントをもらえる?って言われたんです。それで私もその時に、リリースしてすぐで悪いんだけど「OBABA」を使わせて欲しいという話をしたら、喜んでって言ってくれたのです。私の中でこの曲を聴いた時の印象が、いい意味で土臭く感じたので、今回のアフリカというコンセプトにも合うと思い使わせてもらいました。新しくていい曲をいち早くブレイクさせるというDJの役目として、今回のようにマッサンと仕事が出来たことは本当に嬉しかったです。
Universe:次に、DJとしての質問をさせて下さい。DJとして絶対に譲れないことやこだわっていることはありますか?
DJ SARASA:譲れないという意味とは少し違うかもしれないですけど、まずは曲をたくさん聴く事ですね。次にDJをしている時の流れをちゃんと作ることかな。起承転結じゃないですけど。そこが伝わるように意識してプレイしてます。例えば1時間なら1時間の限られた時間の中で、お客さんを体験した事のない世界に連れて行くのが私のプレイスタイルなので、そういう意味でも流れの中の物語的なとこは凄く意識してます。なので最初から最後まで私のプレイは見て、そして聞いてほしいですね。
Universe:DJ SARASAとして、DJを通し、常に発信し続けたいメッセージはありますか?
DJ SARASA:そうですね、私の場合は常に現状の世界情勢を音楽を通して学んでいるので、その音楽で学んだ事を今度は自分のプレイで表現しています。パーティして騒ごうぜみたいなのは、他のDJにまかせていますね。なので結果、今まで出して来た作品も、シリアスな内容の物が自然と多くなってます。だから怖いとか思われちゃうんですけど(笑)。でも実はそういう風に思われるのが嬉しかったりもするんですけどね。
Universe:音楽を通して自分自身を表現したい人って沢山いると思うんだけど、自分の学んだことを音楽を通して伝える人ってあまりいないような気がする。それでは、今後の予定だったり計画しているプロジェクトや、こんなことをやってみたいなどを聞かせてもらえるかな。
DJ SARASA:チャレンジ的な部分では、すでにやっているMYNORITY CLASSICSを世界に広めていくことです。私とA$AMI ONEでデザインだったりイメージのプロデュースをやっているんですけど、今後PRもちゃんとやっていく上で、洋服ブランドって、自分達が何を軸に打ち出していくかがはっきりしていないと、続かないと思うんですよね。なので、自分達が望んでいるように発信できるよう、ブランディングもしっかりやっていきたいですね。DJに関しては、もっともっと上手くなることです!まだ私の100%中、2%しか出せてないのでまだまだですね。毎回プレイする度に悔しい思いをしてるので、もっと満足いくプレイがしたいです。私のプライオリティーが流れと選曲の幅なので、そこが出来てから、今度はテクニカルな話になってくるんで、上手くなりたいです!あとは今までは活動範囲が英語圏が多かったので、アジアにもどんどん進出していきたいですね。
Universe:最後に今回の東日本大震災で被災した方々にメッセージを頂けますか?
DJ SARASA:精神的な辛さや、先行きの不安で気持ちがいっぱいだと思うし、正直実際に被災した人達じゃないと理解できないぐらいのダメージだと思います。それでも世界中の人たちが協力して復興を助けてくれているので、一人じゃないんだよというのを一番に伝えたいですね。私は何が出来るんだろうと、今でも真剣に悩みます。でもやっぱり私は楽しいことでみんなに元気を届けられたらいいなって思ってます!出来ることがあれば協力するのでメール下さい!
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Photo:Keita Suzuki
Interview&Text:Universe magazine