Y-3Y-3
KLOOZ × SOU OOTSUKI
CROSSTALK INTERVIEW
 

2013.03.12

KLOOZ × SO OTSUKI

2010年、日本のシーンではいち早くネット上でフリー・ミックステープを発表し、これまでにもインターネット・メディアを使ったプロモーションが多くの話題を呼んだヒップホップ・アーティスト、KLOOZ。そして、ウェブやテクノロジーといった側面からのアプローチを得意とする映像作家、大月壮。その両名がタッグを組んだ映像プロジェクト「KLOOZ MOVIE DAY」(KMD)、そして、話題沸騰中の360°PV「Supa Dupa」について、それぞれの立場からの視点と姿勢、そして野望を語ってもらった。



KLOOZと大月壮の出会い〜KLOOZ MOVIE DAY(KMD)プロジェクト

大月 (以下O):音楽がすごく好きで、学生の頃からテクノのDJなんかをやっていたんですね。で、「さんぴんキャンプ」があった一年後にビデオを同級生に見せられて、はじめて日本語のハードコアなヒップホップ・シーンに触れたんです。そこから、他の音楽と平行して日本語ラップだけはずーっと聴き続けていたんですよ。最初に思ったのは、言葉遣いが普段の自分たちの言葉遣いと一緒。リアルな言葉でやってる音楽。そういう意味でのリアリティがありました。でもやっぱり、ちょっと怖かったですね。僕からすると、2000年に入ってからどんどん過激な部分がエスカレートしていったように感じました。だから、「ヒップホップのシーンは自分がコミットする場所ではない」とずっと思ってたんです。MSCなんかは大好きでよく聴いてましたが、自分の日常とは完全に違う、知らない世の中の一面として聴いていました。ただ、SeedaとかNORIKIYOらが出てきたときに、彼らは自身の内面の痛みとか歌っていて、その時にハードコアなラップと共感できるポイントが見つかって。興味本位から共感へと少しずつ心の距離が狭まっていったんですよね。その後、不良的な価値観のHIP HOPとは反目するような活動をしてた環ROYと知り合って。そのROYの紹介でKLOOZと出会ったんですけど、KLOOZはハードコアなシーンも知りつつ、一般人的な感覚も持ち合わせていたので「KLOOZとなら何か一緒に作れるな」と思いましたね。

KLOOZ (以下K):それが2010年の終わりくらいですね。

O:そう。ツイッターが盛んになってきて。JPRAP.COM(※フィードを利用して日本のヒップホップ作品を収集したポータルサイト)も出て来て。JPRAPの出現はネットとヒップホップが凄く親和性を帯びて来ているな、と思って、僕にとってすごく面白ものだった。Benzeezy(※JPRAPの主催者)のことも、「このいなたいシーンにプログラムを使って乗り込んできた!」と興味深かったですし。KLOOZに関しても、ツイッターで情報を拡散しているところとか、ヒップホップ的な価値が云々ではなくて、情報リテラシーの部分に共感しました。シーンの中にちゃんといる人で今までとは違う世代が出て来たな、と。

K:僕は、2010年にミックステープ「No Gravity」を出して、ちょうど次のアクションを考えていたんです。アメリカのマック・ミラーの動きとかを見ていて、映像でミックステープを作りたい、というコンセプトはありましたね。そうしたら、ロイ君が大月さんを紹介してくれて。最初は一ヶ月に一回、ビートを選んで作ろうと思っていて…

O:でも1ヶ月に1回のペースって、誰でも出来るなと思ったんです。

K:それで「2週間に1回でどう?」って。それがKLOOZ MOVIE DAY(KMD)のスタートですね。

O:みんなが出来ることをやるよりは、最初からぶっちぎりたくて。しかもハイクオリティで、最初から本気を見せつけるというか。日本のヒップホップ・シーンにコミットしたことなかったから、せっかくのチャンスだったし。KLOOZにとっても、次のステップに進む上でスピード感があった方がいいんじゃないかなと。後はSWAGってスタイルが流行ってて「どうだ!」って自分を見せつける気持ちでやるのがかっこいいかなって(笑)。

K:最初は、ビートを選んで、レコーディングして撮影して編集して、そこまでを一日でやった。まず、実験的に作ってみたらバッチリ。震災までは順調でしたね。

O:KMDの7回目まではなんとか2週間に一回のペースを守ってきてたんですよ。ところが、3.11の震災が起こって僕が「今回は見送りで」って言ってからはガタガタ。最後の3回を出すのに一年近くかかっちゃったし。

K:二人のギャップとかではなくて、ただ、アーティストとして世の中にどうアプローチしていったら分からなくて。震災が起こったことについて、チャリティーソングを作るのはいいけど、何のため?みたいな。世の中が沈んでるときに、あんなバカな曲を作っていいのか、とか…。

O:これまで、面白く遊んでる「イエーイ」みたいなことを表現してきたわけだから…。

K:それを乗り越えて、キリよく10回目の「Floatin Lab」(※KMD#010 SKY-HI “Tumbler feat. KLOOZ, MIHIRO”)で終わりにしよう、という話に落ち着いて。そこで一回完結して、映像を1つにまとめて配信しました。結局、最後はうまく着地したかなと。

 

アイデアはどこから?〜KMDで使われたエフェクトやトリック

O:アイデア出しはそれぞれ行いました。2回目(※KMD#002“No Playboy)のK-POPをジャックした映像はKLOOZのアイデアで、お正月のやつ(※KMD#003 : KLOOZ & AKLO “2011 (A Happy New Year)”)は僕からのアイデア。”ツンツンミクちゃん”(※KMD #007 : KLOOZ & Cherry Brown "ツンツンミクチャン" )はKinect(※キネクト:Xbox 360向けのゲームデバイス。コントローラを用いずに操作ができる体感型のゲームシステムで、ジェスチャーや音声を認識出来る)を使ってCGのミクちゃんを口説く、ってアイデアを出して。ギャルネタっていうのはHIPHOPの定番だと思うんだけど、CGキャラとかアニメキャラも<ギャル>なわけだし、そこを口説くのが日本ぽいしバカっぽくていいかなって。

K:基本的にはやりたいことをバーっと並べてっていきました。大月さんが「こういうエフェクトとかデバイスがあるから、こういうのが作りたい」とか話して。



お互いが印象に残っているビデオは?

K:“ツンツンミクちゃん”が一番面白かったかな。データ・モッシュという技法がアメリカでも流行っていた時期があって。キッド・カディとカニエ・ウエストがやってたのもデータ・モッシュを使っていたし(※Kanye West – Welcome To Heartbreak ft. Kid Cudi)。“ツンツン~”はデータ・モッシュと似た技法なんだけど、映像がぐちゃぐちゃになって、そこから人が出てくる。アメリカの感覚で流行ってる技法と、“ミクちゃん”みたいな日本のコンテンツを融合させると面白いかなと思って。

O:僕はKMDのまとめサイト(※『KLOOZ MOVIE DAY』)が一番かな。映像ディレクターは僕で、プログラムや、二つの動画を同期するアイデアなんかは古屋君(※デザイナー・古屋蔵人。KLOOZ『DECORATION』のアートワークも手掛ける)のもの。Youtubeから引っ張った二つの映像をプログラム上でリアルタイムに同期させて、タイミングが来たら、サイトの上のGIFアニメが表示されていくっていうことをやったり。まとめサイトを作ってみて、プログラムを組み合わせると、ウェブ上で見る新しい映像体験が作れるなと気付いて、自分でも発見になりましたね。



インタラクティヴな360°PV、「Supa Dupa」

K:もともとあの曲のリリック・ビデオを作りたいと思ってて。

O:リリックの面白さを伝えるヴィデオを作りたいと相談されてたんですが、それを作るには時間がかかり過ぎそうで返事を渋ってました。そんな中であの360度カメラの情報を知って、「これを使えば先鋭的だし、今のKLOOZの方向性にも合わせられそう」と思って提案しました。それで、業者に連絡してカメラを貸していただいて撮影しました。あれは、普通のカメラにGoPanoのレンズを付けて撮る。そしてGoPanoのサーバーに上げると、360度回転させながら映像が見れるんです(※「Supa Dupa」のPVはGoPanoの360度レンズを用いて撮影したもの。GoPanoのサイト 、もしくは専用APP からビデオを再生すると、自分の手元で角度や位置を変えることが出来る)。

PV 「Supa Dupa」 on GoPano



K:あのPVは、公開と同時に半端なくバズりました。携帯も鳴り止まなかった。手応えはありましたね。

O:撮るのも速かったしね。思いついて、機材の交渉して、ロケ地探したりも含めて二週間くらいで出来た。

K:しかも一発撮りで。曲自体もゲーム要素が濃かったし、バッチリハマったと思います。あの感覚が新しい!というのは伝えられたかな。

 

2人の今後は?

O:オファーがあればその都度やります。今、Kinectを使って…(※以下、申し訳ないですが詳細は秘密!楽しみに待っていて下さい)あと、僕は、HIP HOPに日本人の持つギーク感とか何でもちゃんぽんしちゃう感じを混ぜて海外に見てもらいたいと思ってる。僕がHIPHOPカルチャーの中で一番感動した部分ってスタイルウォーズっていう概念で。スタイルウォーズならワールドワイドに見れば日本にも自分にも長所がいっぱいある。そもそもアメリカのカルチャーと同じ事をして共感し合おうとは思ってなくて、アメリカと日本は生活環境も違うし同じ土俵じゃないから、ルールだけは踏まえて日本人としてのスタイルを産みたいし、そういうアーティストと組みたいなって。

K:僕は大月さんと出会って、そこの視点の捉え方が変わりましたね。アメリカのシーンをひたすら追いかけてましたが、今はアメリカや世界を追いかけながらも、日本のカルチャーを上手く入れてアウトプットする、みたいな。USのカルチャーが好きなやつから見たら「何やってんだあいつ」と思われるのも分かってて。でも僕はそれより前に進もうと。人がやったことないことを、実験しながらやっていきたい。

O:クールだよね、単純に。物まねとか狭い価値観に捕われてるより断然クール。

K:あとは、ライブ会場で映像を3Dで見せられたりとか、もっとライブの現場と映像で実験的なことが出来ればなと。

O:そういう感覚を持ち合わせてるところがいいよね。KLOOZ以外にあんまりそういう人いないから。

K:今は、自分のライブを着実にやっていって、デカい舞台にたてるようになったときに、そういうコラボが出来たらいいですね。3/14のライブでは一時間のライブをやるので、しっかり構成を考えて、自分のショウケースを見せられればと。

O:クリエイターとして最近思うのは、自分に自分で限界を定めちゃいけないなと。当たり前の話なんですけど自分で可能性の限界や満足する地点を設定したらそこまでなんですよね。自分のあらゆる可能性を終わらせない、リミッターを作らない、そういうマインドセットが必要。っていうのを先日対談したヒャダインさんから学びましたね。とか言いつつ自分はダメ人間なんで半分は成り行きにまかせたいんですが(笑)。

K:僕も今、初のアルバムを出してホッとしたなっていう気持ちはあるんですけど、今のを聞いて「ダメだ」って思っちゃった(笑)。



インタヴューの最後に…

O:僕ですか?デジタル大好きですが、別に理系の家系ではないです。お兄ちゃんが小学生のころからゲームをプログラムして作ったりしてて、それで遊ばせてもらってたりと今思うとデジタルとクリエイティブっていうのは幼少期から体験してるんですよね。家系は教師と駄菓子屋です。母方が教師で、父方が駄菓子屋なんですけど。

K:わ、まったく一緒!うちも鯨井商店という駄菓子屋をやってたんですよ、祖母が。お母さんが教師で。

O:まじかよ!駄菓子屋と教師がリンクした(笑)。駄菓子屋と教師のエクストリーム・クリエイティブがKMD!





■KLOOZ
2002年頃からラップを開始。2010年にインターネット上で無料ダウンロード形式のミックステープ『No Gravity』をリリース。日本のヒップホップ・シーンにおけるフリー・ミックステープ作品の先駆けとして話題を呼んだ。その翌年、2011年に映像作家の大月荘とタッグを組んだ映像配信プロジェクト『KLOOZ MOVIE DAY』をスタート。話題のアーティストが多く参加し、最新映像技術を取り入れた映像と斬新なラップスタイルで大きな注目を集める。2012年にはKREVAのプロデュースによるデビューシングル"It's My Turn"を限定発売。2013年1月、満を持してレーベルDream Boyからデビュー・アルバム『Decoration』を発表。新人の枠に留まらない、新世代ヒップホップ・アーティスト。

BLOG:http://ameblo.jp/klooz3156/
Twitter:@kloozy92 https://twitter.com/kloozy92

ライブ情報:「#ケンザツーマン vol,1」
日程 : 3/14( 木 )
会場 : 渋谷PLUG出演 : KEN THE 390×KLOOZ
開場 / 開演 : 18:30 / 開演 19:30 / 終演 21:30
前売料金 : ¥3,300 (税込み・オールスタンディング)
当日料金 : ¥4,000 (税込み・オールスタンディング)

「流派-R Presents R-Festa Next」
日程:2013年3/23(土)
会場 : Shibuya THE GAME
出演:Alice, fumika, Alliese, SHUN, KEN THE390, matt cab, KLOOZ
開場/開演 : 16:00 / 17:00
前売りチケット ¥1,500 / 1Drink別 (¥500)
当日チケット ¥2,500 / 1Drink別 (¥500)


■大月壮
1977年神奈川生まれ。東洋美術学校卒業。フリーランスの映像クリエイター、ディレクター。近年は映像にWEBやテクノロジーを積極的に取り入れ新しい映像体験を産んでいる。サブカルチャーやアートにも造詣が深く、過去には現代美術作家「chim↑pom」やHIPHOPミュージシャン「KLOOZ」などと共同プロジェクトを主催。オリジナル作ではニコニコ動画から始まり文化庁メディア芸術祭入選まではたした「アホな走り集」が有名。国内や海外の映画祭・映像祭での上映多数。東洋美術学校非常勤講師。

Web:http://0m2.jp/
Twitter:https://twitter.com/souootsuki




Interview & Text:Shiho Watanabe

 

 

 

 

 

 


DATE : 03.12.2013 | CATEGORY : MUSIC

635pxライン画像

THROWBACK